dustbox

心の中を吐き捨てる場所

儚い

美術館に行きたい。

天井の高い、無機質で、近代的な美術館じゃなくて、耐震性が心配になってしまうぐらいの古い洋館みたいな美術館。
ヴォーリズが作った建物みたいなの。大学の4年間、ヴォーリズの作品に触れて育ったから、あの懐かしい建築美術もすごく好き。

そこで、大きい、本当に大きいキャンバスに描かれた、鮮やかな油絵の西洋絵画を、目の前のイスに腰掛けながら、飽きるぐらいぼーっと見たい。

多分、心が疲れてる。

最近は、誰かと一緒に展覧会に行くことが多かったから、感想を言い合って過ごしていたけれど、込み上げる感情を、独りで我慢しながら観るのが、本当は1番好き。
普段、独りにされるのは嫌だけど。

今はデジタル化が進んで、何かに色を付けるのも簡単で、やり直しも何度もできるけど、何百年も前の、塗り重ねていくことで色を作っていく、失敗はできない、あの感じ。たまらない。

鮮やかな色の絵も、淡い色の絵も、どこか物悲しくて、寂しいから、わかりあえるのかもしれない。

楽しい時間は一瞬で終わるし、恐怖と寂しさはいつまでもついてくる。
美しい景色も災害が起きれば、なくなってしまうし、被害は尾を引く。

それを繰り返して人間は賢くなるんだろうね。
私はいつ賢くなれるのかな?って考えると、激情型な私には、賢く生きて行くことは無理だろうなと思って、笑ってしまう。

賢くスマートに生きなくてもいいから、ふと過去を振り返った時に、楽しかったと思える出来事がいくつかあれば、それでいいかな。
それが1番難しい気がするけれど。