dustbox

心の中を吐き捨てる場所

真剣勝負

百貨店が好き。

最先端の洋服と雑貨、キラキラした雰囲気、美味しいスイーツ全部が詰まっているから。そんな可愛らしい理由ではない。

あそこは笑顔という仮面を被り、お客様から金銭を巻き取って行く悪魔の巣窟なのだ。お客様に気持ちよくお買い物して頂く為に…息をするように嘘を吐きながら、本心は自分の予算のことで頭がいっぱいの悪魔達。

私も悪魔の一員だったから、悪魔側のことはよくわかる。洋服が好きで働いてる悪魔。化粧品が好きで働いてる悪魔。接客が好きで働いてる悪魔。色んなスタンスの悪魔がいるけど、私はお客様にいくら出させるかを楽しんで、刺激を獲ているという最低のスタンスであった。

商品説明をしつつ、お客様の情報を引き出し、友達だったり娘だったりの顔を見せ、心理戦と時間を最大に使って財布の紐を緩める。文字だけで見ると詐欺師と大差ない。

そんなスタンスで働いていた私が今はお客様側の立場に立っている。
手に取るようにわかる悪魔の攻撃を交わしつつ、たまにこちらからも攻撃を放ち、攻防戦を楽しむ。

素早く声を掛けて来ない販売員は嫌い。楽しい闘いのフィールドに立ってくれないのだから。あぁ、今日は私の負け!完敗だわ!それ買います!そう思わせてくれるサタンのような販売員に出会うとワクワクする。また闘いを挑みたくなってしまう。

闘いの勝敗なんてどうでもいい。
勝負から獲られる刺激を求めている。
勝負は金額が狂っているほどおもしろい。
私も賭ケグルイなのかもしれないね。